
武田薬品は10月6日、睡眠障害治療薬(TAK-994)の治験を中止することを発表しました。
これにより株価が一時6%以上下落。さらにずるずると株価が下がり続けています。
今回は武田薬品の株は買い時なのか、また持ち続けるべきなのか考察していきたいと思います。
今回のトピック
- 株価下落の原因となった治験中止について
- 武田薬品の最近の業績について
- 武田薬品の株は買い時?持ち続けて良い?
・株価下落の原因となった治験中止について
武田薬品は2021年10月6日、経口オレキシン作動薬TAK-994(睡眠障害治療薬)の2つの臨床第2相試験を安全性の理由で中断しました。
この新薬はFDAに審査を優先する「画期的治療薬」に指定されていました。
武田薬品は、31年3月期までの売り上げ収益5兆円の目標を掲げており、最も貢献の期待される新薬の一つでした。
経口オレキシン作動薬の作用を簡単に説明します。
私たちの体にはオレキシンと呼ばれる神経伝達物質が神経から神経に伝達されることによって覚醒状態(目が覚めた状態)を維持しています。
ナルコレプシータイプ1と呼ばれる睡眠障害はこのオレキシンを産生するニューロン(神経)が少ないことによって引き起こされます。
つまり、患者はオレキシンが十分に産出されず、常にスイッチオフの状態ということです。
この神経伝達がうまくいかないと日中眠いだけでなく、長く眠ることもできません。
さらに体は常に疲れた状態となります。
現在、存在する治療薬では十分な治療はできていません。
そのため期待が大きく、6%以上の下落が起こりました。
しかし、この新薬の開発が中止されたというわけではありません。
また、治験中に問題があったり、死傷者が出たわけではありません。
安全性の評価を行ったときに患者様の安全性に害を及ぼす可能性があるため自主的に治験を中止しました。
今後はこの懸念事項が解決されるかが株価復活のカギになります。
・武田薬品の最近の業績について(2021年度第2四半期決算)
はっきり言って良いと胸を張って言えないのが現状です。
その理由を詳しく見ていきましょう。

上図は第二四半期決算の抜粋です。
売上高は1兆7944億円で前年度同期比12.8%の成長を遂げています。
四半期利益に関しても1837億円で前年度同期比112.2%の成長を遂げました。
基本的1株当たりの四半期利益は117.08円でこちらも二倍以上増えています。
これだけ見ると良い決算に見えますが、特別利益(金融収益)が1800億円程度あります。
これを抜いて考えると 1兆7944億円 ー1800億円=1兆6144億円で前年度の1億5907億円からあまり成長できていないことが分かります。
また特別利益を引くと税引き前四半期利益が前年度を下回っていることが分かります。(2844億2500万-1800億=1044億2500万円)
今後も本業で収益を伸ばすことができるか、しっかり見ていく必要がありますね。
・武田薬品の株は買い時?持ち続けて良い?
皆さんが気になるのは武田薬品の株は買い時なのか、所有している方はのち続けていいのか、疑問ですよね。
一株当たり180円の配当はものすごく魅力的ですよね。
その配当を維持できるかについてですが、営業キャッシュフローやフリーキャッシュフローにかかっています。

こちらは2008年から今年の営業キャッシュフローの推移です。
シャイアー社回収で一時期落ち込みましたが、最近は持ち直してきた印象です。

上図を見ると、2020年にフリーキャッシュフローもようやくプラ転したことが分かります。
シャイアー社回収の時にも減額されていないことから、配当の減額の心配はなさそうですね。
さて、一番の問題は株価ですね。
現在の株価は3000円~3300円くらいのレンジの中で推移しています。(2021,12月)
この株価の上下はやはり、 経口オレキシン作動薬TAK-994の治験が再開するかにかかっています。
この再開が今後武田の株価を左右するのは明らかですね。
治験が再開するかどうかはわかりませんが、TAK-994治験中止は株価にもう織り込まれていますので、このあたりで買いを入れるのもありかなと思っています。
そうすべてはTAK-994治験にかかっています。
ただほかに有望な株があるのは事実なので、わざわざ武田を買う必要はないかもしれませんね。
私だったら、コロナの影響で未だにバリュエーションが低く見積もられているデルタ航空(DAL)や、カーニバル(CCL)などを買います。
結論ですが、高い配当が欲しい、また治験再開のニュースがでたときに大きなキャピタルゲインを狙いに行きたい方、武田株を買ってみると良いでしょう!!
博打要素を含みますが当たれば大きな利益が得られるでしょう。
もう少し安全に行きたい方は、経済再開の影響をこれから確実に受けられるデルタ航空やカーニバルといった旅行株など狙ってみるのも良いと思います。


